ニュース | 2010/07/23
仕分け作業においては、次世代スパコン予算は一時、「凍結」判定が下されたこともあったが、その一方で、富士通ではスパコンのノウハウを応用した“廉価版スパコン”の販売が絶好調なのだという。
政府が付けている予算の中には、空港環境整備協会のように「明らかに要らないだろう」というものもあるが、大部分は誰かしらの利益になるものである。予算を削減するということは、国民は何か痛みを強いられることになる。
前にも書いたようにスーパーコンピュータの「仕分け」が批判にさらされ、東京大学でも何度もシンポジウムを行って反対運動を繰り広げた。マスコミもここぞとばかりに政権批判の材料にしているように思える。ただ、以前の記事でも書いたように、スーパーコンピュータはすでに大学ではなく民間で作られるようになっている。特に、この記事で取り上げたような「PCクラスタ」と呼ばれる技術は、民間で十分な技術開発ができるレベルになっており、国の研究機関が果たせる役割は限定的だ。ほうっておけば民間が開発するようなものを、多額の予算をかけて「一位」を取る意味はどれだけあるのだろうか。
もし本当にメーカーが大学の頭脳を必要としているというのなら、産学連携が進んだ今日、国の予算に頼らず、メーカーが研究費を全額提供すれば良いのだ。医学生物学のように長期的な研究が必要な分野はともかく、技術の日進月歩が顕著なコンピュータ分野にはその方が効率的だ。たしかに、メーカーとしては、国の予算を付けてもらえれば、研究開発費が節約できて「お得」であるから、予算獲得を側面支援しようとするだろう。しかし、それはせいぜい形を変えた「補助金」でしかないのではないだろうか。
科学技術予算の重要性を否定するわけではない。しかし、科学技術予算はあくまで、長期的な視野に立った基礎研究を中心に配分されるべきであって、メーカーの研究開発への補助金であってはならない。かつてはそれで良かった「古き良き時代」もあったかもしれないが、国の財政状況がそれを許さないのではないか。科学技術予算の「選択と集中」が求められているのではないかと思う。
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