ニュース | 2010/07/10
JCASTニュースに「モンスターペアレント実態赤裸々 無理難題と理不尽全18例掲載」という記事があったのですが、良く読むと「親の言っていることがまとも」という事例もたくさんあります。たしかに最近では「保育所不足」で保育所の側の負担が過大になっている面もあるかもしれませんが、こういった要望を全て「モンスターペアレント」と言ってしまうと、安心して保育所に預けることすらできない世の中になってしまいかねません。
さて、この記事を、良く読むと、本来は「モンスターペアレントの事例集」じゃなくて、「クレーム集」であり、親の要求がまっとうなものも、理不尽なものも全てまとめた事例集だったようです。それをJCASTニュースの方で勝手に「モンスターペアレント」と名付けたのでしょう。だとしたら、「まっとうな親の要求を、マスコミがモンスターペアレントとして騒ぎ立てている」という構図が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
この記事からは、むしろ、保育士のコミュニケーション能力が低下し、親の要求に応えられなくなっているのではないかということ。日本のマスコミの「変わった意見を排除し、つるし上げる」という特徴が、モンスターペアレントという虚像を作り出したのではないかといこと。そんなことを思わずにはいられませんでした。
ちなみに、JCASTニュースで取り上げられていた事例を、自分なりに分類してみると以下のようになります。
◎同情の余地のない。理不尽な要求。
●保育料も、教材費も、遠足のバス代も払わない
→説明不要
●水筒に名前入れると「ネットオークションに出せなくなった。弁償して」
→説明不要
●ブランド品の下着、「名前は入れたくない」
→説明不要
◎要求の仕方は理不尽だが、内容としては問題ないと思われる事例
●写真撮るときには、背の低い子供の並べ方に配慮して
→そんなことどうでも良いじゃないかとも思うが、直接保育士に言うのなら問題がないレベル。市役所に苦情を言うのはやり過ぎだが、保育士と親のコミュニケーションに問題があった可能性もある。
●「なんで救急車呼ばんかったか!」父親が怒鳴り込む
→頭をぶつけたときに不安になるのは仕方ないことで、保育所側はむしろ過度なくらいの対応をした方が良いという教訓でもある。怒鳴るのはやり過ぎだが、保育士と親のコミュニケーションに問題があった可能性もある。
◎人によって判断が分かれると思われる事例
●家まで来て謝罪しろ!
→保育所の落ち度でないのであれば、子供が怪我をした程度で家まで謝罪に行かないといけないかは微妙な判断。ただ、大きな怪我であり、親側の要求もあるのであれば業務の一環として対応するのはそれほど不思議な状況ではない。
◎単なる「要望」であるなら問題ないが、要求の仕方が理不尽だと思われる事例
●子供と親の分、保育所で朝食を用意して欲しい
→親の食事も衣服の洗濯も、多くの親が要望すれば実現するかもしれない。「税金を払ってるのだから当然」というのはおかしいが、単に感情的になって言ってしまっただけかもしれない。保育所側の対応能力の問題であった可能性もある。
●会社に遅刻するからオムツ替えは保育所でやって
→これも要望としては当然のこと。多くの親が要望すれば実現するかもしれない。損害賠償というのは明らかに言い過ぎだが、単に感情的になって言ってしまっただけかもしれない。保育所側の対応能力の問題であった可能性もある。
◎全くもって普通の要求。
●「牛乳はよくない。冷たいジュースも」給食食材に異常な要望
→牛乳アレルギーに対応できないようなら保育士として失格。保育所で対応できないのなら飲み物を持参させれば良いが、そうした対応をしたのか疑問。
●「アレルゲン食品を与えたのではないか」と邪推
→アレルギーの原因として保育所で与えられた食品を疑うのは当然で、何を与えたかを保護者に伝えるのは当然の業務。これをクレームと考える保育所こそ問題。
●夜遅くまで起きているのは、保育所のせい
→養育方針の行き違いから来る問題で、親ときちんと話し合うべき。
●ケガしたら弁護士に相談
→保育士の業務上の不注意をなじる目的で、「将来、保育士のミスによりケガをしたら弁護士に相談する」ということに問題があるとは思えない。保育所こそ自覚がなさ過ぎる。
●保育所でシラミもらったに違いないと信じ込む
→家族の中で子供だけがシラミを持っていたら、保育所を疑うのは当然。クレームと考える保育所こそ問題。
●我が子が友達からいじめられている!
→イジメを疑ったら、登所させないのは普通の判断。親に落ち度は全くなく、クレームですらない。
◎事実関係が分からないので何とも言えない。一概に親を非難するのも問題。
●「うちの子供が嘘をつくわけがない」と保育士解雇を要求
→親の言うことが正しいかもしれないので何とも判断できない。
●被害妄想の強い母親「保育士がうちの子を後ろから突き倒した」
→親の言うことが正しいかもしれないので何とも判断できない。
◎教育とは別の問題
●母親の精神不安定、「保育所側のせい」
→「夫が精神疾患を抱える妻を思って過度な要求」という事例で、モンスターペアレントの問題とは別に考えるべき。
◎関連リンク
組織としてモンスターペアレントに対処する方法を考えた - NC-15
→当ブログとは正反対に、ニュース記事を完全擁護している方の意見です。
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100%でもモンスターといえるのか?て思いますよ
だってそれはそれでひとつの意見ですからねぇ
大騒ぎするってことは、意見の切り捨てをできない日本人の弱さ?
管理人より:たしかに。一意見としていっただけであれば、100%に分類したものも、必ずしも問題ではありませんよね。「意見」として聞くということができない人が、騒いでる面も大いにあるような気がします。