| 2009/03/10
「勉強もスカートも、やる気次第でまだまだのびるんだ」「女性の品欠く」。風紀の乱れを防ごうと、短すぎる制服のスカート丈改善を呼び掛けるこんなポスターが、新潟県内の高校に掲示されている。
短いスカートは「品欠く」 新潟県の高校ポスター/産経ニュース 2009.3.3 18:41
http://sankei.jp.msn.com/life/education/090303/edc0903031842009-n1.htm
リンク先の画像を見て、思わず笑っちゃいました。だって、この広告、どう考えても逆効果。多くの高校生にとって、勉強は「格好悪い」というイメージがあるので、「スカートを長くすることは格好悪い」というイメージを植え付けるだけではないかと思います。特に、勉強のできない生徒は、自分には勉強ができない、大人の言うことなんてウソだと思い込んでいます。そうした生徒が「勉強もスカートも、やる気次第でまだまだのびるんだ」なんて言われたら、スカートの長さに対してさらに頑なになることが想像できます。広告というのは、アピールしたい対象を「何と結びつけるか/連想させるか」が問題。「スカートの丈を長くすること」と「勉強」を結びつけることは、こうしたセオリーに真っ向から反しているのです。
どうしてもこの手の広告を組みたいのなら、バブル時代の短いスカートの女子高生の写真をもとに、「短いスカートは格好悪い」というイメージを与える、あるいは、同世代の女子高生や男性タレントを起用し、「規定の丈でもこんなにおしゃれ」というアピールをするくらいのことが必要でしょう。一層のこと、「新潟女子高生制服コンテスト」として「規定の丈の制服」を条件にミスコンのようなものをやるのもいいかもしれません。まぁ、それはさすがやり過ぎだと思いますが…。
だいたい、公立高校で「画一的にスカートを履かせる」というのが時代遅れなのです。制服がただちに間違っているとは思いませんが、日本ではバブルのときに、「制服を性的嗜好の対象とする」、それまでは一部のマニアにしかなかった考え方が一般化しました。いわゆる「ブルセラブーム」です。もともと、制服は「集団意識にしたがう従順な人間」というメッセージを持つものだったと言えますが、それが「性的魅力」と強く結びつけられて理解されているのが「ポストブルセラ」の日本ではないでしょうか。
そうした中、大部分の生徒は、葛藤しながらもそうした視線を「文化」として受け入れ、自分なりのアイデンティティを作っていると思います。しかし、体型的な理由などで、「制服が似合わない生徒」もいるし、そうでなくてもナイーブな感性を持っている生徒もいます。「短いスカート」はそうした葛藤を集団意識の中で解決する試みの一つと言えるでしょう。
要するに「短いスカート」のそもそもの原因は、すでに「セックスシンボル」となった制服を女子生徒に着させ続けている学校や教育委員会の怠慢以外の何もでもないと、自分は思います。記事に登場する校長先生は「このポスターで生徒自身に考えさせたい」とおっしゃっていますが、むしろ「学校自身が制服の是非について考える」時に来ているのではないでしょうか。
○参考記事
新潟発、女子高生のスカート丈改善ポスター
http://news.cocolog-nifty.com/cs/catalog/cocolog-news_article/catalog_blog-200903061721_1.htm?s=app
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