経済・政治・国際 | 2009/03/23
民主党は19日、児童ポルノを有償で取得することも処罰する児童買春・ポルノ処罰法改正案を衆院に提出した。昨年の通常国会に改正案を提出した与党との修正協議を目指す。
現行法は、児童ポルノの写真や電子データを営利目的などで他人に提供することや、提供を前提に製造・所持することを禁じている。民主案は、有償で取得する行為(購入)も禁止し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すとしている。
与党案は、インターネットなどで児童ポルノの画像が広く流出する懸念があるため、単純所持を禁じているが、民主党は「捜査権のらん用を招く」として、単純所持の処罰は見送った。
児童ポルノで対案提出=購入も禁止-民主/時事ドットコム
以前からこのブログでは、自民党・公明党・毎日新聞等が強硬に支持している児童ポルノの「単純所持」の規制が、「あらゆるインターネット利用者を犯罪者化し、警察がいつでも誰でも好きなように国民を逮捕することができる制度」だということ、児童ポルノの規制としては「購入」を規制すれば十分であることを主張してきました。(link)。
推進派の一人である、鳩山総務相は、「表現の自由で守られる法益と、児童ポルノで失われる人権を比較すれば、表現の自由が大幅に削られてかまわない」(link)と見当違いのことを言っており、推進派がいかにこの問題に対して無知であるかが分かります。児童ポルノの単純所持規制で失われる「表現の自由」とは、単に「児童ポルノを表現する権利」ではなく、「警察に不当に逮捕されない権利」であり、民主主義の基盤とも言えるものです。それにもかかわらず「表現の自由が大幅に削られてかまわない」=「政府に反対する人間は好きなように逮捕できる制度が導入されてもかまわない」と言える神経は、常人には理解できません。
私が安心してブログを書くことができるのも、「政府の方針に反するようなことを言っても逮捕されない」という「表現の自由」があるからです。しかし、自民党・公明党・毎日新聞等が支持している法案が通れば、政府の方針に反対するようなことを発言すると突然警察が押しかけてきて逮捕、PC押収、刑務所行きというようなことが十分可能になるのです。
こうした中、民主党から、世論の批判を、ある程度踏まえた提案がなされました。参院の第一党である民主党が独自の改正案を提出したことは、大きな前進と言うことができます。ただ、民主党の法案にも大きな問題があります。上の記事には書いていませんが、実際の法案は「みだりに、児童性行為等姿態描写物を有償で又は反復して取得した者」となっており、「反復して」という部分が非常に曖昧だからです。具体的には「迷惑メールに含まれるリンクを間違えて二回クリックしたら、3年以下の懲役」ということになるわけで、自民党・公明党案の根本的な問題は解決されていないと言わざるをえません。
この問題に関して、一部のマスコミは、児童ポルノ規制の本当の問題を隠し、国民を欺いているように思えます。特に、上記の時事通信の記事は、あたかも民主党の法案が世論の不安を解消するものであるかのように書かれており、読者をミスリードするものであることは明白でしょう。しかし、幸運なことに、この問題は多くのネット利用者の関心の的であり、ほとんどのブロガーが規制強化に反対しています。児童ポルノ規制の問題に対して適切な対応をすれば、政党/政治家はかなりの票を期待できるような状況なのです。選挙までの時間が限られたものになる中、民主主義の社会を守るためには、多くの国民がこういった問題に関心を持っていくしかないのではないかと思います。
○参考リンク
児童ポルノ法改正案を衆院に提出 実効性と人権への配慮を両立/民主党
第162回:民主党の児童ポルノ2ストライク法案全文の転載/無名の一知財政策ウォッチャーの独言
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民主党が自民党の単純所持違法化法案に同意した?ということを自民党が主張しています。
以下の問題に民主党の当初提案の法案がどの程度あてはまるか検討する必要があると思いますが、
自民党の単純所持規制法案の問題点をあらためて指摘しておきます。
【ポイント】
自民党の児童ポルノ単純所持違法化法案は、治安維持法と使い方が同じですね。
単純所持を違法化するということは、
単純所持を現行犯とすることですね。
通常、犯人を逮捕する場合は、裁判所のチェック(裁判所に逮捕令状を発行してもらって)を受けてから犯人を逮捕しますが、
(これを令状主義と言う)
現行犯人の場合は例外であって、
裁判所のチェック無しで
犯人を逮捕できます。
これと同じ法律が、
治安維持法(もう廃止されましたが)です。
治安維持法では、裁判所のチェックを受けずに
警察が独断で犯人を逮捕していました。
その結果、ずいぶん冤罪が多かったようです。
もちろん、治安維持法では、冤罪を防ぐため、
警察で、犯人逮捕後に入念な取り調べを行って、
自白により、
犯人であるか無いかの確証を取る作業を
確実に行なっていたにもかかわらずです。
児童ポルノ単純所持違法化法案も
治安維持法と同じ道をたどると考えられます。
以下のサイトに長野県が規制をしないで劇的に犯罪を低減する成果をあげていることを示すグラフを掲載しました。
http://like700.hp.infoseek.co.jp/53.html#ken-filter
このような県が良い県と思います。
PS:最近は、
「怪しい児童ポルノ規制法案」というキーワードで
YAHOO検索すると、
「怪しい児童ポルノ規制法案」
http://like700.hp.infoseek.co.jp/42.html
のサイトが検索されません。
情報統制が始まったようです。
エジプト報道で、朝日と毎日がすごい件
に対する
情報学ブログさんのコメント
硫化水素自殺って楽に死ねるんだろうか?
に対する
真実さんのコメント
大学に市場原理を導入する方法
に対する
北風mk-2さんのコメント
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(2010/12/11)
同感です。
青少年ネット規制法やケータイ規制といい、ここ最近のネット規制の傾向は異常です。
また最近はダウンロード違法化という提案すら閣議決定されたとか…。
民主党も信用できませんが、自民党はありえませんね。