ニュース | 2009/02/20
自民党は追加景気対策の一環として、地上デジタル放送が受信できるテレビやチューナーを購入した全世帯に一律2万円程度の支援金を配布する方向で検討に入った。2011年7月に地上デジタル放送へ全面移行する計画も1年間前倒しして、早期普及を目指す。液晶テレビなど急激な需要落ち込みに悩む電機業界を支援する狙いもある。 自民党のe―Japan特命委員会(小坂憲次委員長)が18日、「IT(情報技術)による景気・雇用・環境緊急対策パッケージ」の議論に着手、3月までの取りまとめを目指す。国税の申告などの行政手続きを電子化する電子政府計画、電気自動車普及なども前倒しし、合計で7兆円規模の経済効果を見込む。 (16:00)自民党が地デジの購入した世帯に支援金を配布することを検討しているようです。この提案、手続き的な問題(実現が遅れると買い控えにつながるなど)はあるでしょうが、本質的な問題点は何より「特定業界を支援することで政策に対する不公平感を生む」ということでしょう。一昔前ならともかく、テレビはすでに生活必需品ではありません。テレビは、携帯、有線インターネットというような選択肢の中の一つになっており、こうした状況でテレビという業界だけを取り上げて支援することを到底世論は許さないでしょう。
そうでなくても、現在のテレビ放送は、本来支払うべき電波使用料を払わないだけではなく、携帯利用者から巻き上げた電波利用料をつぎ込んでやっと成り立っているという状況。経済原理から言ったら本来成り立っていない、言い換えれば、すでに国民のニーズがなくなっている「テレビ」に、さらに追加の税金をつぎ込むというのは全くナンセンスです。これなら、「公設民営の光通信網」を全国に展開すべし」という松本徹三氏の提案や、民主党のソーラーパネル補助の方がよほど検討するに値します。
また、対象が今後地デジ関連機器を購入した世帯だけになれば、すでに地デジ関連機器を購入している人からの反発も避けられません。
興味深いのは、生活給付金に反対キャンペーンを繰り広げたマスコミが、この提案にどのような反応をするかということです。生活給付金に反対なのであれば、この提案にも反対しなければ筋が通らないでしょう。しかし、自分たちの業界が絡んだこの問題に対して、本当にそんな報道ができるのでしょうか。このまま行けば、アナログ停波で視聴率が下がり、収入が激減するのは確実。今回の提案は、そうした状況を少しでも回避するための「マスコミ救済策」にも写るからです。自民党がばらまきを通して「マスコミからの支持集め」に奔走しているのではないかと勘ぐりたくもなってきます。ちなみに、そういうこともあって、この記事のタイトルを、「次回の世論調査で、麻生政権の支持率をV字回復させることが決定」にしようとも思ったのですが、さすがにやめておきました(笑)。
今回はまだ「検討」ということなので、特に大きく議論になることもないかもしれませんが、今後の展開から目が離せないニュースになりそうです。
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