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発信者情報の開示は明確なルール作りと事前交渉スキームが前提―池田信夫氏に反論する

経済・政治・国際 | 2009/02/19

被害者が加害者に抗議する手段を提供しないと、ネット上の紛争は解決できない。警察が出てくる事態を避けるには、システム管理者が発信者情報を開示して当事者による紛争の解決に協力すべきだ。

ブログの炎上を引き起こす匿名性

ネット規制推進派の池田信夫氏がASCIIの誌面上で、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報の積極的な開示を求める意見を述べています。この背景には、現在のプロバイダ責任制限法において、発信者情報の開示が認められる基準は大変曖昧にしか定められていないということがあるでしょう。同法は、発信者情報の開示が認められるケースとして以下のものを挙げています。
一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発
信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)

ここで「権利の侵害」とは何を意味するのか、それは他の法律や一般常識に照らし合わせて考えるということでしかありません。基準が曖昧であるためにプロバイダが発信者情報の開示に及び腰になっているという現状があるのです。池田信夫氏の主張は一見すると分かりづらいのですが、こうしたことを前提に考えると、プロバイダに対して、同法に基づく積極的な発信者情報の開示を求める意見だということが分かります。

○匿名性の確保は重要

しかし、当事者であるプロバイダがプロバイダ責任制限法の適用による発信者情報の開示に及び腰であることは良く理解できます。それは利用者の多くがネット上の匿名性に敏感だからです。

ここで匿名性というのは本名を隠すという意味での匿名性だけではありません。住所を含めた個人情報がネットに流出しないこともある意味での匿名性であり、これは安心してネットを利用するための前提とも言えるでしょう。実際、あるプロバイダが簡単に個人情報を開示してしまうということが分かったとしたら、そのプロバイダを辞める、あるいは最初から選ばないという選択をする人は多いと思います。プロバイダが、むやみにプロバイダ責任制限法を適用して顧客の信頼を失いたくないと考えるのは当然なのです。

このことはプロバイダ責任制限法の立法趣旨からすれば、「適用の障壁」とみなされるのかもしれません。しかし、冷静に考えればこれは、インターネットの利用者にとって当然のニーズと言えます。むしろ、こうした利用者のニーズや市場原理に基づく企業側の行動を無視して作られたプロバイダ責任制限法の方が問題なのです。

○ルールなき情報開示は利用者を萎縮させるだけ

さて、池田信夫氏は、発信者情報の開示による個人間の交渉によって問題が解決すると考えているようですが、ネットの利用者に節度のある利用を求める前提として発信者情報を考えるのであれば、当事者間の交渉や刑事手続き以上に、何らかの明確なルールが存在することが重要です。ここで明確なルールというのは必ずしも完全に明文化されいてるいる必要はありませんが、最低限「こうしたルールを守っていれば発信者情報は開示されない」ということが明確になっていることが必要なのです。

ところが、現在、名誉毀損や著作権など、ネット上の権利の範囲は発展途上であり、こうした分野の専門家ならともかく、一般の人が「どこまでなら許されるか」判断するのは簡単ではありません。こうした状況で発信者情報が開示されることになれば、多くの利用者は不当な発信者情報の開示による被害という「漠然とした不安」を感じてネットで批判的な意見を述べなくなる一方、本来であれば締め出すべき利用者の行動に対しては十分な抑止力にならないという事態が予想されます。これは、決してネットの健全な発展のあり方ではないでしょう。

この問題を解決するためには、ネチケットのような曖昧な形ではなく、「発信者情報の開示の基準」というような明確な形で、ネット上の権利侵害のケースを列挙し、専門家、あるいは国民全体の中での合意を作ることが必要でしょう。そして、それをさまざまな形で国民全体に告知していくことが必要です。こうしたことが前提となって、初めて、ネット利用者は安心してネットを利用することができるし、プロバイダは安心して発信者情報の開示を行うことができるのです。こうしたことを踏まえず、単に「発信者情報の開示」のみを定めたプロバイダ責任制限法はいわば欠陥法であり、実際の発信者情報の開示に結びつかないのは当然だと言えるでしょう。

○まずはネットを介した交渉が必要

さて、その上で、明確化できないような微妙な権利上の問題に関しては、従来であれば裁判所の判断を仰ぐということになるのでしょうが、そうではなく、発信者情報の開示以前の匿名性を保った交渉スキームを確立させていくことも必要だと思います。たとえばある人が自分のホームページで書いた記事が名誉毀損に当たるということになった場合、権利者側(名誉毀損の被害を受けた側)が、該当する記述の削除を求め、それが認められる場合は匿名性を保ったままで交渉が完了するというようなシステムが必要と思われます。

ところが現状では、こうした交渉が行われる前に「発信者情報の開示」の是非が判断されるのです。これはプロバイダ責任制限法が、ネットコミュニケーションの特質を無視して作られた法律だということを意味しているでしょう。

ネット上では、氏名や住所を明かさなくても、責任ある判断をすることができるし、むしろそうしたことを支える制度こそが重要です。ところが、プロバイダ責任制限法は、住所と氏名によって同定される旧来型の法的な人格概念だけを想定しているため、現実に適用するとおかしなことになってしまうのです。本来であれば、裁判手続きに関しても匿名性を担保したスキームが実現することが理想だとは思いますが、少なくとも事前の交渉に関しては匿名性を保った交渉のスキームを確立させていくことが必要ではないでしょうか。こうした交渉が決裂した場合に、裁判に移行するというシステムは、権利者・利用者の双方にとってメリットのあるものになるでしょう。

○ プロバイダ責任制限法は抜本的な見直しが必要

以上、池田信夫氏が言うように、プロバイダ責任制限法を適用して単純に発信者情報の開示を行うことの問題点を見てきました。大きく言えば、「発信者情報を積極的に開示すること」で問題が解決するというのは幻想にほかなりません。発信者情報の開示は新たな別の問題を生むだけでなく、発信者情報の開示に対するプロバイダの動機という観点から現実には実現不可能な提案なのです。むしろ、明らかにネットコミュニケーションの特質を無視して作られたプロバイダ責任制限法を抜本的に見直し、現状に合ったものに変えていくことこそが、健全なネット社会の発展のため求められているのではないかと思います。

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コメント

はてぶで、OguraHideoという方から以下のメッセージをいただきました。著作権・インターネットに詳しい弁護士の小倉秀夫先生と同姓同名で、日記を見ても情報通信関係の法律に詳しい方のようです。

> 匿名性が保証されていると思って気が大きくなっているお馬鹿さんと事前交渉なんて時間の無駄だと思いますが。

本文で書いたように、従来の裁判制度では住所・氏名・生年月日等で同定される人格が前提になっています。なので、それを前提に考えればこういう考えになるでしょう。しかし、それは制度というものに対するあまりにも限定的に理解です。それ以外にも、人が責任ある行動を取れる条件を探ることができます。

自分は本文で

> こうした交渉(事前交渉)が決裂した場合に、
> 裁判に移行するというシステムは、権利者・利用者の双方にとってメリットのあるものになるでしょう。

と書きました。たしかに、永遠に匿名性が保証されると考えれば、Ogura氏のような状況に陥ると思います。しかし、自分が言う「事前交渉スキーム」は、「交渉が決裂したら匿名性がなくなる」という圧力のもので行われる匿名性が保たれた交渉であり、そういう心配はないはずなのです。匿名性を前提に不法行為を行う人は、匿名性の剥奪を過度に恐れているはずで、それを逆に利用すればスムースな交渉が可能ではないかということです。

自分がここで問題にしているのは、匿名or非匿名という二者択一的な状況です。インターネット上のコミュニケーションにおいて、匿名性の剥奪はある種の社会的制裁という側面を持っている。ところが、匿名性を奪われなければ交渉の場にすら付けないという状況はおかしいでしょう。たしかに、裁判制度を匿名性を担保したものに変えるのはかなり困難かもしれませんが、事前交渉に関しては、匿名性を担保したものにすることができるはずだと思います。

投稿: 情報学ブログ | 2009/02/20 14:39:42

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