ニュース | 2009/02/03
日本新聞協会は29日、NHKが2月2日に開始予定の携帯電話向け無料ニュース配信について、「有料サービスを行う民間業者への打撃となり、健全な競争市場を混乱させる」として、中止を求める意見書をNHKと総務省に提出した。同協会によると、NHKのサービスは無料でニュースの要約を提供し、利用者を有料サイトに誘導する可能性があり、NHKが有料でニュースを配信することを禁じた昭和25年の国会答弁に反するとしている。
これに対しNHKは「改正放送法の枠内で視聴者ニーズに応えようとするもので、中止する考えはない」と回答した。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/sankei-m20090130007/1.htm
まぁ、これだけの話だったら、「新聞社はNHKを批判してないで、自分たちがもっとがんばればいいのに…」などと寝そべりながら無責任な独り言を言うだけのところなのですが、ふと、以前に書いた報道の自由と著作権(link)という記事を思い出したので、ちょっとだけコメントすることにします。
以前、「報道の自由と著作権」で指摘したように、報道の自由は、利用者が「過去の報道にアクセスする権利」(アーカイブアクセス権とでも名付けましょうか)に支えられているものです。かつてであれば、新聞については図書館に置かれた縮刷版によってそれは担保されており、それ以上の形でのアーカイブの提供は技術的に不可能ということで免責されていたと考えられます。また、テレビについては、そもそも「技術的に不可能」ということで、アーカイブを提供する義務は免責されていたと考えられます。
ところが、今日では、そうした状況は大きく変わり、報道機関は容易にデジタルアーカイブを提供できるようになりました。しかし、それにもかかわらず、日本のテレビ局は、過去の番組のアーカイブを一般に提供するのを拒み続けています。
まぁ、そうとは言っても、映画やドラマ等に関しては、法的、戦略的に、提供が難しいのは分かるし、そうでなくても広告収入に頼っている民放に関しては、なかなか提供に踏み切れないのも分からないことはありません。
しかし、NHKはどうでしょう。大部分が自社制作番組であり、NHK自身が著作権を保有しています。また、広告放送もないため、視聴率の低下をそれほど意識する必要もないはずです。そうであれば、DVD等の再販の予定がない番組、せめてニュース報道のアーカイブくらい、無期限・無料で提供することはできないのでしょうか。
利用料収入の落ち込みに対する対抗策は、「視聴者に不便を強いてまでテレビに向かわせる」ことではなく、「視聴者のニーズに応える形で情報を提供する」こと。携帯でのニュース配信もいいと思いますが、公共放送としての責任を担う意味でも、NHKにはもっと抜本的な変革が求められているのではないかと思います。
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