ニュース | 2008/09/16
最近、「ハロゲンフリー」という言葉が生まれてきているようです。ハロゲンというのは、フッ素、塩素、臭素といった元素で、化学反応によってダイオキシンなど非常に有毒な物質を作ることで有名です。食塩(塩化ナトリウム)などの例外はありますが、多くの場合反応性が高く、予期できないような物質を作ってしまうという性質を持っています。ハロゲンフリーというのは、主に塩化ビニール(塩ビ)などのプラスティック製品に含まれているハロゲン元素をなくそうという運動であり、ソニーやパナソニックなどの家電メーカーが推進しているものです。
さてさて。話は変わりますが、最近、清涼飲料水の人工甘味料として「スクラロース」というものが使われていることが気になっていました。基本的に人工甘味料の不自然な味が嫌いな自分ですが、スクラロースは比較的自然な甘みを与える甘味料であると思い、むしろ気に入っていたくらいです。
しかし、あるときたまたまスクラロースの分子式を見て以来、、気持ち悪くてスクラロース入りの飲料を飲む気がなくなってしまいました。なぜって、いかにも人工的なハロゲン化合物だったからです。
一般に、天然の生体分子にハロゲンを持つものはほとんどありません。そこにハロゲンという「よそもの」が入ってしまうと、予想外の強力な効果をもたらすことがあります。その中でも悪役の代表的なものがPCBやダイオキシン、良い効果があるとされているのがスクラロースということになるのでしょう。ただ、生体内の化学物質は常に化学反応をしています。スクラロースは加熱すると分解して塩素ガスが発生することが知られているようですが、これと似たような反応が低温で起こると、「塩素ラジカル」という反応性の高いものが生じ、これが他の分子を攻撃して、予想外の変化を引き起こすことになります。これはあくまで妄想ですが、スクラロースのハロゲン基が、さまざまな生体分子に転移し、それがさまざまな毒性を持ちそうな…そんな印象を化学式から受けてしまうのです。
食品添加物にはさまざまなものがあるわけですが、「ハロゲン化合物」がそのまま食品添加物になっているのは、スクラロースだけだろうし、その意味で不安というのもあります。
これは全く科学的な知見ではなく、あくまで自分個人の感覚的な問題です。きちんとした手続きを踏んだのであれば、この物質が食品添加物として認可されていることに異議を唱えるわけでは全くありませんし、公的な規制をしろと言っているのではありません。ただ、すごく気持ち悪いのです。たとえば、「この料理はトイレの便器から取ってきた水を元に作られていますが、きちんと殺菌しているので問題ありません」「客がむかつくので、料理人がつばを入れたけれど、その後加熱してあるから食品衛生上の問題はありません」などと言われているようなものでしょうか。
とりあえずスクラロースの化学式を見て以来、スクラロースを含む食べ物は口にしていません。理屈ではなく、生理的に受け付けないような気がするからです。一生これを続けるかどうかは分かりませんが、とりあえずトラウマになりそうな化合物であることは間違いないようです。
○追記(2009/8/25) 最近では自分も普通にスクラロース入り飲料を飲んでいます。やはり慣れの問題なのでしょうか。
その場合、電荷的に
X+-I-
に近くなっているので、
Iそのものはかなり安定だと思いますよ。
たまに天然物に塩素が含まれたものってありますよ。植物とか作ってるみたいですね。理由はわかりません。たしかにハロゲン化有機物は食べたくはないですよね。有機化学を学んだ者なら誰でもそう思うはずです。ハロゲン化アルキルとかは、DNAの塩基と反応して、癌になるとか。
そういえば、管理人さまは、薬学部にいっていながら、有機合成や天然物研究をやらずになぜ、情報学なんてやってるんですか?グリニャール試薬とか昔勉強なさったと思います(笑)。
あれ、ツーラさん有機化学も詳しかったんですね。
いったいどんな人なんでしょう(笑)。天然のハロゲン化物については、ちょっと軽率だったかもしれません。この記事は「感想文」みたいなものなので、お手柔らかに…。
自分は薬学部時代、生物系に興味があったので、有機合成の道に進むなんて考えてもみませんでした。Griniard反応くらいは学生実習でやりましたが…。
念のため、本文を修正しました。
修正前:一般に、天然の生体分子にハロゲンを持つものはありません
修正後:一般に、天然の生体分子にハロゲンを持つものはほとんどありません
加熱すると塩化水素は発生しますが塩素は発生しますか?
それに、仮に「常温」で塩素ラジカルができたとしても、水素引き抜き反応のほうが
メインで、塩素ラジカルが直接結合する反応は少ないと思われますがね。
第一、ラットとマウスに30000ppmも混合したえさを104週食べさせて発がん性試験行って
Negativeという判定なのですが。
まさか、ラットとマウスの結果は信用できないなんてことはおっしゃいませんよね。
本文ちゃんと読んでもらえましたか?
いずれにせよ科学的な話じゃないって断った上での
説明なんで、
有機化学の話も、本題ではないのです。
実際問題、DNAの損傷等が問題になるレベルで
起きないからこそ、
動物実験でネガティブだったわけだし、
だからこそ認可されたのだと思います。
そこを否定しているわけではないので誤解しないでください。
自分が言っているのは「印象の問題」なので、
本来議論するようなことではないと思います。
> 分子にハロゲンが入っているということだけで
構造や反応性に関する過去の知見、
> 過去の実験結果等も参考にせず
> 気持ち悪いという「印象」をお受けになるわけですね。
おっしゃる通りです。
「昆虫を食べるのはグロテスクで気持ち悪い」というのと同じようなものです。
どんなに無毒であるという実験結果を積み重ねても、
「気持ち悪い」感覚はなくならないでしょう。
これはまったく個人的なもので、
実験結果の積み重ねで、「気持ち悪さ」が制御できると考える方が、
間違っていると思います。
繰り返しになりますが、
本文には問題がないとはっきり書いています。
「当面…口にしていない」とは書きましたが、
「トラウマ」が和らげば、
いつかは口にするようになるかもしれません。
まるで自分がスクラロースが有毒であると書いたかのように曲解した上で、
それに対して批判されてもお答えしかねます。
>一般に、天然の生体分子にハロゲンを持つものはほとんどありません。そこにハロゲンという「よそもの」が入ってしまうと、予想外の強力な効果をもたらすことがあります。その中でも悪役の代表的なものがPCBやダイオキシン、良い効果があるとされているのがスクラロースということになるのでしょう。ただ、生体内の化学物質は常に化学反応をしています。スクラロースは加熱すると分解して塩素ガスが発生することが知られているのですが、これと似たような反応が低温で起こると、「塩素ラジカル」という反応性の高いものが生じ、これが他の分子を攻撃して、予想外の変化を引き起こすことになります。
ここは「断定」していらっしゃいますよね。
だーかーら、ここが間違いだらけなんですがね。
仮にも「薬学部出身」なのに。
まあ、アフラトキシン問題のときのあなたの書き込みをみて
気にはなっていたんですが、今回の件でよくわかりました。
#コメントも都合の悪い部分は公開されないわけですしね。
その道に詳しいと常識的に考えられる人が、明らかに誤っている
ことを公表することが、どういうことを招きかねないのか
ということについてよくお考えになることをお勧めします。
ちなみに、昆虫が云々の話は、たとえ話として全く不適切なのでは?
> #コメントも都合の悪い部分は公開されないわけですしね。
中傷表現を含むコメントだったので、
必要な部分のみを引用させていただきました。
議論が荒れることが「都合の悪い」と思って公開を控えましたが、
議論の内容上「都合の悪い」と考えたわけではありません。
> ここは「断定」していらっしゃいますよね。
「起こると~」という仮定の一般論ですので、
スクラロースでそれが問題になると言ってるわけではありません。
「昆虫…」のたとえでも分かるように、
科学的な問題ではないって強調しています。
スクラロースの危険性として受け止めて「断定」とおっしゃるのなら誤読だと思います。
> その道に詳しいと常識的に考えられる人が、明らかに誤っている
> ことを公表することが、どういうことを招きかねないのか
> ということについてよくお考えになることをお勧めします。
このブログのメインの話題は、社会系の記事で、
この記事がある種の「小話」として書かれたものだということは、
読めば分かると思います。
また、「科学的には問題ない」とたとえ話まで出して説明しているので、
「誤っている」という方が誤解でしょう。
しかし、この記事が、
スクラロースに若干のマイナスの印象を与えることは考慮しています。
この記事は「科学的ではない」と強調したものですので、
このブログのアクセス数や影響力の大きさから考えて
スクラロースの買い控えが起きたり、
売上げが下がったりすることはないでしょう。
しかし、一部の人がこの記事によって
「スクラロースに対する漠然とした不安」を感じ、
そのことがスクラロースの安全性に対する関心を高める可能性は否定できません。
それは「副作用」ではなく、自分が「あわよくば」という意味で期待している
この記事の効果の一つです。
なぜなら、そういった形でこそ、
スクラロースが安全に利用されることになると思うからです。
科学は社会とのかかわりで初めて成立するものです。
これはアフラトキシンの記事における自分のスタンスとも共通しますが、
科学的結論には「科学的に見積もられたリスク」のほかに、
そのリスクモデルそのものの信頼性に関するリスク、
その結論が出された社会的背景に関するリスクなどがあり、
こうしたことを含めてリスクを考えていかないといけません。
こうしたリスクに対応するのは非常に難しいことですが、
一つの解決策が、市民が一つ一つの問題に関心を持っていくことでしょう。
そのことは問題の程度に応じて追試や内部告発を促していくことになるからです。
ところが、スクラロースに関しては、
そうした関心がほとんど持たれていないのです。
そうした状況が問題だと思って書いたのがこの記事です。
この記事はこのブログの本来のテーマではないし、
ブログの性質上、「煽るような書き方」はしたくなかったので、
「科学的には問題ない」と強調したわけですが、
それにとどまるものではなく、その効果を含めて記事にしたものです。
おお、俺と同じような考え方の人が他にもいたw
たしかに、嫌な感じではありますよね。
カルミン色素みたいなもんですよね!
スクラロースはいい甘味料かもしれません。
私は糖尿病のインスリン注射のため
入院したことがあります。
その時に食事指導の栄養士さんが
食事制限のため適度にダイエットコーラを飲むのはいいと
おっしゃっていました。
肥満気味の人がダイエットコーラを飲み
正常な体になり、生活習慣病にならない可能性もあります。
スクラロースも功罪あると思います。
私は功の方が多いのかなと思います。
塩素化合物は最近、悪者扱いされているような気がします。
分からないのが、塩化ナトリウム存在下で
不適当な燃焼をさせた場合に
ダイオキシンは発生しないのかということです。
しかし, 塩だって日本で食塩とされている精製塩より天日塩の方が体にいいわけで, さらに世界的にも昔から塩をそのまま食事に取り入れるより, なるべく醤にして醤油なりナンプラーだったりそれからさまざまな食品を発酵食品化させて, そこで変化した塩分を摂るようにしてきたわけですよね.
そう考えると, 塩分はなるべくこなれたまろやかな物の方が体にいいという経験則があるのは明白ですね。
実際, 砂糖の場合だって甘味料よりも美味しい訳で, 醤油でも長く熟成したほうが味が断然いいし, 梅干しなんて古いものは超がつくほど高いし旨いわけですよ.
やはり, 食品の安全性においては確かな味覚に勝る検査方法はないんじゃないですかね・
エジプト報道で、朝日と毎日がすごい件
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はじめまして。
>一般に、天然の生体分子にハロゲンを持つものはありません。
甲状腺ホルモンは一般的な天然の生体分子ではないんだ。
ふうん。