ニュース | 2008/03/24
チベット動乱では中国政府は「情報統制能力」のすごさをあらためて見せつけたと言って良いかも知れません。亡命政府経由で入ってくる情報を除けば、ほとんどは、「中国政府公認」の情報です。特に、日本の報道機関は、中国と協定を結んでいるため、あからさまな中国批判を書くことができないようです。実際、全国紙5紙の署名記事はほとんど「北京発」で、中国政府の発表をそのまま受け流しているだけ。海外ニュースを通して、初めて全貌をつかめているという人も少なくないのではないでしょうか。
そんな中、現地に近づいて報道をしようとした日本人ジャーナリストがいたのをご存じでしょうか?中日新聞(東京では東京新聞として発売)の平岩勇司氏です。ラサ入りすることこそできなかったものの、周辺地域を回って集めた情報は、どれも貴重なものばかりです。決定的瞬間をとらえたというような派手な記事ではないため、あまり注目されていないのではないかと思いますが、こういう地道な報道こそが、日本のマスコミに一番求められているのではないかと思いました。
尊敬とねぎらいの気持ちを込め、平岩氏の署名記事をまとめて紹介させていただきます。また、このほか読売と共同通信の記者が成都(四川省)にいると思われますので合わせて紹介させていただきます。
○中日新聞(平岩勇司氏の署名記事)
チベット暴動で情報戦略 批判回避へ中国躍起(北京)/3月16日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008031602095827.html
チベット暴動 アバ県への検問厳戒 四川省自治州 中国軍、兵士を増員(四川省)/3月18日 朝刊
(編集中に削除されたため、末尾に一部転載)
「街は戦場だった」 兵士満載、装甲車の列(四川省)/3月19日朝刊
http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2008031902096487.html?ref=related
チベット・ラサ暴動『ダライ・ラマ側計画』 24人逮捕、170人出頭(青海省)/21日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008032102097068.html
大学でも 抗議拡大 当局、監視強める(甘粛省)/3月22日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008032202097361.html
甘粛省の暴動で当局が167人逮捕 中国テレビ報道(北京)/3月24日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008032402097945.html
○読売新聞(加藤隆則氏の署名記事)
チャン族自治州デモ「ダライ・ラマ一派関与」…共産党機関紙(四川省)/3月18日
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080318-OYT1T00636.htm
武装警官が観光スポット巡回、異様な光景…四川省・成都(四川省)/3月18日
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080318-OYT1T00674.htm
四川省・成都、チベット人への恐怖あおるデマが流布(四川省)/3月19日
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080319-OYT1T00628.htm
「人民解放軍2万人投入」の情報も…チベット暴動1週間(四川省)/3月21日
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080321-OYT1T00863.htm
○共同通信
チベットへの玄関口で厳戒 成都、小銃持ち警官巡回(四川省) /3月19日19:07
http://www.47news.jp/CN/200803/CN2008031901000741.html
外国人記者を徹底排除 中国、チベット暴動の拡大で(四川省)/3月21日12:33
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008032101000459.html
ラサ暴動の情報を制限 独立運動くすぶる新疆(ウイグル自治区)/03月22日19:16
http://www.47news.jp/CN/200803/CN2008032201000705.html
チベット騒乱ルポ 外国人記者をつけ回して下着まで検査(四川省)/3月24日09:45
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080324/chn0803240952004-n1.htm
○引用記事
【成都(中国四川省)=平岩勇司】中国チベット自治区に隣接する四川省成都から、暴動が起きた同省チベット族自治州のアバ県に入る境界では十七日、自動小銃を携えた兵士が通行車両への検問を実施し、厳戒態勢を敷いていた。自治州から出てくる車両には「身分証を出せ」「トランクを開けろ」と命じ、暴動に関与したチベット人らを捜索するとともに、金属探知機を使い危険物を調べ上げた。
逆に、成都から自治州に向かっては、兵士を乗せた人民解放軍の車列が続く。暴動鎮圧のため兵士の増員を続けているもようだ。軍トラックの荷台では、明らかに未成年とみられる幼い顔の兵士が緊迫した表情で自動小銃を握りしめていた。
沿道の市民には正確な情報は伝わっておらず、「チベット人がインドとロシアから銃を購入、漢民族の商店を略奪し、警官を射殺した」とのデマも流れている。
四川省アバ県への検問厳戒 チベット暴動、中国軍が兵士を増員/2008年3月18日 07時25分
■数百人死亡の情報
【北京=新貝憲弘】インドに拠点を置く亡命チベット代表者議会は十七日、この数日によるチベット自治区など中国各地の暴動で「数百人」が死亡したとの声明を発表した。AFP通信が伝えた。中国政府は十八日午前零時(日本時間同一時)までに同自治区ラサでの暴動参加者の出頭を求め、現地では緊張が高まっている。四川や甘粛両省では学生らによるデモが続いているもようだ。
非政府組織(NGO)「チベット人権民主化センター」は、四川省のチベット族自治州紅原県の高校で十七日、チベット人の学生約百人がダライ・ラマ十四世のチベット帰還を求めたデモを決行し、四十人ほどが公安当局に拘束され、殴打されたと発表。AP通信によると、甘粛省蘭州市の西北民族大学で十六日発生した学生デモは、警官隊の取り締まり強化後も約五十人が翌日朝まで抵抗したと伝えた。
中国外務省の劉建超報道局長は十七日夜、記者会見し、国際機関による真相究明を求めたダライ・ラマ側の提案について「内政問題であり、中国政府は主権を守る能力と決意がある」と拒否した。
四川省アバ県への検問厳戒 チベット暴動、中国軍が兵士を増員/2008年3月18日 07時25分
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