ニュース | 2008/03/19
このブログでは続けて取り上げてきたmixiの利用規約騒動ですが、やっと事態が収束に向かいそうです。mixiが利用規約の修正案を発表したからです。一番問題とされていた箇所は以下のような文面に変わりました。
第18条 日記等の情報の使用許諾等
1本サービスを利用して投稿された日記等の情報の権利(著作権および著作者人格権等の周辺権利)は、創作したユーザーに帰属します。
2弊社は、ユーザーが投稿する日記等の情報を、本サービスの円滑な提供、弊社システムの構築、改良、メンテナンスに必要な範囲内で、使用することができるものとします。
3弊社が前項に定める形で日記等の情報を使用するにあたっては、情報の一部又は氏名表示を省略することができるものとします。
4弊社が第2項に定める形で日記等の情報を使用するにあたっては、ユーザーが設定している情報の公開の範囲を超える形ではこれを使用しません。
http://mixi.jp/rules_sample.pl
以前書いた記事(参照)で、各ブログ/SNSサービスの利用規約を比較したのですが、その中でももっとも優れている利用規約に分類されるものだと思います。ココログの利用規約とも近いと思いますが、細かいところではココログの利用規約よりさらに良いものと言えるかもしれません。
特に、ポイントなのが、「ユーザーが設定している情報の公開の範囲を超える形ではこれを使用しません」という一文です。これによって、一度削除した日記はもちろん、非公開設定についても運営側が無断で公開してはいけないことが明記されたし、mixi内の日記をmixi外部に公開することもできないようになりました。これは従来にない非常に画期的な条項で、今後、他のブログ/SNSサービスも見習うべきではないかと思います。mixiの新利用規約反対運動によってユーザが勝ち取った大きな成果と言えるものではないでしょうか。
また、広告・利用促進目的での利用が運営側に許されておらず、「本サービスの円滑な提供」が運営側の利用の条件となっていることも評価できます。ここで「本サービス」というのは、2条1項,2項により、「弊社が運営する「mixi」と称するウェブサイト(PCサイト http://mixi.jp、モバイルサイト http://m.mixi.jp)上で提供される全てのサービス」と定義されていますので、Web以外の利用ができないだけではなく、他のドメインで公開することすらできません。これはココログ等では導入されている規約ですが、こうした限定が含まれている規約は少ないのです。これも高く評価できる点ではないかと思います。
唯一疑問なのは、氏名表示を省略することができるという規定です。検索結果の表示するときに冒頭だけが表示されるのは仕方ないと思うのですが、ニックネームを表示しないというのは少なくとも現状のシステムでは見られません。ただ、ユーザは何か問題が起きたときに削除すれば対抗できるという意味では、それほど問題にならないのではないかと思っています。4/1以降にログインしてしまうと、二度と取り返しのつかないことになるという、修正前の規約からすると大きな進歩です。
また、18条以外の問題については全てが解消したわけではないのですが、「ただちに退会しないといけない」というような重要な問題は完全になくなったと考えて良いでしょう。
今回の騒動では、さまざまな専門家やユーザがブログ/SNSの著作権について意見を表明しました。同じような騒動は過去にもあったわけですが、盛り上がりの大きさ、蓄積した議論の幅広さでは、かつてないほどのものであったと思います。そうした議論を取り込みつつ、新利用規約が実現したという意味で、mixiにとってはもちろん、ネット社会全体にとっても大きな前進だったのではないでしょうか。今回の騒動をきっかけに、他のブログ/SNSサービスの利用規約も改善に向かっていけばと思うものです。
○関連記事
固定リンク | コメント(2件) | トラックバック(0件)
おっしゃる通りだと思います。
4条が問題だというのを否定するわけではないのですが、もともと旧利用規約にも見られたものだし、他のサービスの利用規約にも同等のものがあります。
ネット社会全体の問題として引き続き取り上げていくことは必要だと思いますが、とりあえずは評価して良いのではないかと思っています。
エジプト報道で、朝日と毎日がすごい件
に対する
情報学ブログさんのコメント
硫化水素自殺って楽に死ねるんだろうか?
に対する
真実さんのコメント
大学に市場原理を導入する方法
に対する
北風mk-2さんのコメント
八百長力士を処分するべきなのか?
(2011/02/05)
ロシア大使更迭経緯の流出は誰のリークか?
(2010/12/24)
大学に市場原理を導入する方法
(2010/12/23)
サンデルの政治哲学と日本の戦争責任問題
(2010/12/12)
負の所得税としての子ども手当
(2010/12/11)
はじめまして。わたしも今回の修正は高く評価しています。しかし、一部のユーザの間では、第4条があるからいつでもひっくり返せるという意見があります。そこまで疑ってしまえば、そもそも規約にどう書いてあろうとすべてを疑わなければならないことになり、自分は何もしないのが一番になってしまうのではないでしょうか。わたしは修正全体のバランスから見て、そこまでは疑えないのですが、運営主体が変われば悪用はあり得ると思います。でも、そういう種類の危険はいつでもどこでも起こり得るとも思うのですが、いかがでしょう?