ニュース | 2008/03/17
さまざまな問題が指摘されているmixiの新利用規約問題ですが、ミクシィは「近いうちに修正案を提示する」と言っているにもかかわらず、実質的な退会の期限(3/27)の10日前となる3/17になっても、いまだに何もアナウンスがありません。どうも、ミクシィはユーザによる反対運動が下火になったのを見計らって、成り行きで新利用規約を実施しようとしているような気もします。
さて、新利用規約に関して、ある場所におもしろいたとえ話を見つけたので、話をふくらませてみました。
ある時、ミクシィが利用規約を変更し、4/1以降も利用し続けたい場合、実印と印鑑証明をミクシィに郵送し、さらに、「ミクシィ側がどのように印鑑を使っても、ユーザは一切訴えることができない」ということを認める契約書にもサインしなければいけないというアナウンスがありました。理由としては「今後、ミクシィのサービス変更にともなって、さまざまな契約書類に捺印してもらう必要があるが、そのたびに書類を郵送してもらうのは面倒なので、事前に預けてもらう必要がある」ということです。法律の専門家の多くは反対の声明を出しましたが、ある夕刊紙が「犯罪の予防にも効果的」という記事を書くなど、肯定的な意見もありました。
もちろん、ユーザは、「そんな怖いことできるはずないじゃないか」と言って、退会を始めました。そこで、ユーザの不安を抑えるため、ミクシィは次のようなアナウンスを始めたのです「実印はあくまでユーザの皆さまのものですから、皆さまがお使いになりたいときは、いつでもお貸しいたします。また、ミクシィは勝手に実印を使ったりすることはありません。利用規約も近いうちに、修正するので安心してください」。これを聞いて多くのユーザは安心し、次々に実印と印鑑証明をミクシィに郵送し、「どのように使われても訴えない」という契約書にもサインをすることにしました。彼らは、「ミクシィは信頼できる会社だし大丈夫だよ」「ミクシィが実印を悪用するなんて考えすぎだよ」「自分は大した日記を書いていないから大丈夫」と言って、利用規約変更などどこ吹く風といった感じです。
さて、ミクシィは「利用規約は近いうちに修正する」と言っていたのですが、退会の期限(3/27)の10日前となる3/17になっても、ミクシィから利用規約の修正に関するアナウンスはありません。どうも、ミクシィはユーザによる反対運動が下火になったのを見計らって、成り行きで新利用規約を実施しようとしているようです。その間にも、多くのユーザは、ミクシィに実印と印鑑証明を送ってしまいました。
そうして、ついに4/1を迎えました。最初は特に問題が起きることもなく、普通に運営されていたのですが、会社が何度も買収されて経営陣が変わる度に、次第に実印の無断使用のケースが増えていきました。ユーザの中には、勝手に不動産を売られてしまったり、多額の損害賠償を負わされた人もいたのですが、最初に、「一切訴えることができない」という契約書にサインをしてしまったため、どうすることもできなかったのです。しかも、利用規約は、一度加入したら、退会しても有効であるため、ユーザは、ミクシィ側に言われるままにするしかありませんでした。一部のユーザはミクシィを相手に裁判を起こしましたが、利用規約が有効という判決が次々と出されユーザ側の完敗です。
こうしてミクシィは今まで以上に成長し、株主は大きな利益を上げましたとさ。めでたしめでたし。
さて、ここで大きな問題があります。上のたとえ話では、「実印と印鑑証明をミクシィに送る」必要があったのですが、実際には実印と印鑑証明をミクシィに送る必要もなければ、契約書にサインをする必要もありません。旧利用規約の規定により、4/1までに退会しなければ、「実印と印鑑証明をミクシィに送り、契約書にサインをする」のと同じような効力になるからです。つまり、上のたとえを読んで「怖い」と思った人もいたかもしれませんが、今、mixiのユーザが置かれているのはそれ以上に怖い状況だと言うこともできます。「実印と印鑑証明をミクシィに送り、契約書にサインをする」のが嫌だと思うのなら、4/1までに退会するしかありません。
もちろん、今回の問題の場合、上のたとえ話と異なり、ミクシィ側に許諾される権利の範囲が、過去にミクシィに投稿した著作物(削除したものも含む)に限られます。しかし、著作物に関して、ミクシィ側が「あらゆることを自由に、未来永遠にわたって行って良い。それに対してユーザは訴えることができない」という意味では、新利用規約を受け入れることは、実印と印鑑証明を渡すのと同じことです。自分の書いた日記が勝手に改変されて公開され、それによって損害賠償を求められる危険性などを考えると、上のたとえ話の状況と共通する面も多いことが分かるでしょう。
では、どうすれば良いのでしょう。何度も言いますが、新利用規約が抜本的に修正されなかった場合、私たちに残された道はmixiを退会するしかないのです。
○参考記事
mixiの利用規約問題は、普通のユーザに関係ないのか?
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/mixi_411b.html
著作権問題でミクシィに反省の色なし
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/post_194a.html
主要ブログサービスの著作権規定、格付け一覧
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/post_edf5.html
mixiの日記に対する著作権が事実上消失
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/mixi_3d40.html
お知らせ
mixiの利用規約問題については、この後ミクシィ側から大幅な修正案が発表されました。詳しくは以下の記事をお読み下さい。
mixiの利用規約問題は収束へ―今後の議論の発展に期待
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/mixi_7d92.html
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