mixiの日記に対する著作権が事実上消失

ニュース | 2008/03/05

来たる4月1日に、mixiの利用規約が変更になりますが、これにより、ユーザが投稿した日記、コメント等に関する著作権が大幅に制限されることになります。たとえば、mixiの運営主体である株式会社ミクシィ(以下、ミクシィ)は非公開の日記やコミュニティの内容を勝手に公表したり、商品化したりできるようになります。

多くの人にかかわる問題なので、簡単にまとめを作ってみました。

著作権の問題に関しては、積極的に取り上げてきた本ブログですが、この問題をきっかけに、多くの人が著作権に興味を持ってもらえればと思っています。

○いったい何が起きるの?

・公開の日記はもちろん、非公開の日記や友人のみ公開の日記、非公開コミュニティの内容についても、ミクシィは、目的を問わず自由に、ミクシィ外部に公表できることになります。(18条1項および2項)
・日記に書いた文章や作品を、ミクシィが勝手に商品化しても、ミクシィに対して対価を求めることができなくなります。(18条1項)
・自分の書いた日記に悪意のある改変が加えられたまま、自分の名前で公表されたり、自分の書いた日記が、他人の名前で公表されるというようなことが起きることになります。(18条2項)
・ミクシィとやりとりした私信など、mixiに投稿した著作物以外の著作物についても、ミクシィは内容や氏名を改変して自由に公表することができるようになります。(18条2項)
・ミクシィは、公開・非公開にかかわらず、全ての日記・コミュニティの書き込みを、そのまま、あるいは改変して公表することができますが、そのことによって、名誉毀損などの問題が起きたとき、損害賠償責任はユーザが負うことになる可能性があります(13条2項)
・ミクシィからのメールに対して2日以内に返信をしなければ(メールボックスを見ていなかっただけだとしても)、非公開の日記や友人のみ公開の日記、非公開コミュニティの内容が第三者に開示されてしまいます。(19条5項)

○著作権って何?

「ミクシィが、自分の日記を勝手に改変して公表する」「ミクシィが、非公開の日記を勝手に公表する」そんなことあるはずないと思っている人もいると思います。ただ、それはどうしてなのか考えたことがあるでしょうか?それは「著作権法」という法律によって、自分の日記が著作物として守られているからです。勝手に改変をしてはいけないのは「同一性保持権」があるからだし、非公開の日記を勝手に公表してはいけないのは「公表権」があるからです。ところが、新規約では、ユーザはこうした権利を放棄するということが明示されています。つまり、ミクシィがどんなに勝手なことをしても、ユーザは法的に一切文句を言うことができなくなるのです。

このような規定は、2ちゃんねるのような匿名掲示板において、広く見られるものです。匿名掲示板においては、通常の方法で著作者の確認ができず、コンテンツを有効利用することができないという事情を踏まえて、近年一般的になってきました。しかし、著作者の明確なSNSでは全く必然性のない規定です。

また、多くのブログでは、「広告・宣伝」目的に限って、投稿内容を運営側が利用できる規定を持っています。しかし、もともと「外部に非公開」を特徴とするSNSで、同じような規定を導入する必然性はないし、今回の改訂のように目的を定めない規定を導入する必要はありません。また、非公開の日記や友人のみ公開の日記、非公開コミュニティの内容が無断で公表されるという規定は、明らかに理不尽なものです。

○ミクシィは何と主張しているの?

多くのニュースサイトがこの問題を取り上げ始めたため、ミクシィでは「勝手に書籍化することはない」というような声明を出しました。

http://mixi.jp/release_info.pl (mixiのアカウントがないとアクセスできません)

ただ、これはあくまで声明であり、法的拘束力はありません。将来、ミクシィが買収されたるなどして「保有している著作権を有効活用する」というようなことになった場合、過去の投稿にさかのぼって、ミクシィが勝手に投稿内容を改変して公表したり、商品化する可能性があります。また、この場合、ユーザがミクシィに対して一切の対価を求めることができないという点には変わりありません。

たとえて言うなら、「クレジットカードを貸してほしいんだけどいいかな?絶対、悪用しないから。ただ、悪用しても訴えないっていう書類にはサインしてね」というのが、ミクシィの立場ということが出来るでしょう。こんな不誠実極まりないことはありません。

○いったいどうすれば良いの?

新しい投稿についてはブログ等に掲載し、リンクのみをmixiに貼ることで新規約の問題を回避することができます。

ただ、新規約は、4/1以前に投稿した日記にも適用されると明示されていますので、新しい日記に関してそうしただけでは意味がありません(附則2項)。4/1以降にログインした場合、自動的にそれ以前の日記に対してもこの規約が適用されることになります。(第4条3項)

最大の解決策は、4/1以降は、一切ログインしない、あるいは退会するということですが、なかなかそういうわけにもいかないでしょう。そういう場合、今までに書いた日記に対する著作権を放棄したくないのなら、4/1までに過去に投稿した日記、画像等を削除することが必要になります(*1)。この場合、以下のようなバックアップツールを利用すれば、自分のパソコン上で永遠に見ることができるようになるし、後になって、ブログ等に転載することもできます。

http://mixi-tips.jp/tool/backup.html

今、新規約に対する反対運動が起きていますので、状況次第では、新規約の施行が延期・停止される可能性もあります。ただ、新規約の施行が強行されるようなら、過去の日記については削除するなどの対応が必要になってくる場合もあるでしょう。それまでに、バックアップツールの利用法をチェックするなど、準備を行っておくことが必要ではないかと思います。

*1 利用規約を厳密に解釈すると、4/1以降一切ログインしない限り、削除してもダメです。ただし、シュリンクラップ契約(ログインしたら承認したことになるという契約)の有効性と不利益不遡及の原則(後から契約を変更しておいて、変更以前の行為に対して不利益が及ぼされるべきではないという原則)とのバランスもあり、さすがに、4/1以前に削除したものまで、ミクシィ側が勝手に公表したり、改変したりすることはないと思っています。ただ、これはあくまで憶測であり、実際にどうなるかは判例によるしかありません。場合によっては裁判を起こす覚悟も必要です。それが面倒なら、4/1以降ログインしない以外ないでしょう。

●mixi新利用規約(抜粋)

第4条 本利用規約の変更
1弊社は、弊社の判断により、本利用規約をいつでも任意の理由で変更することができるものとします。
2変更後の利用規約は、弊社が別途定める場合を除いて、オンライン上に表示した時点より効力を生じるものとします。
3ユーザーが、本利用規約の変更の効力が生じた後に本サービスをご利用になる場合には、変更後の利用規約の全ての記載内容に同意したものとみなされます。

第18条 日記等の情報の使用許諾等
1本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。
2ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします。

附則
1本利用規約は平成20年4月1日から施行します。
2本利用規約の施行前にユーザーによって行われた行為についても本利用規約が適用されます。

http://mixi.jp/rules_sample.pl (mixiのアカウントがないとアクセスできません)

●関連サイト

mixi、4月1日より利用規約を改定--日記などについて著作者人格権の行使を禁止/CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20368643,00.htm

●著作権

この記事は、この著作権表示(以下のリンクを含む)を変更しない限り、
自由に改変・転載してかまいません。
ただし、改変した場合、改変者は独自の責任で二次著作物を公表し、
また、そのことを明示する必要があります。

mixiの日記に対する著作権が事実上消失/ニュースな待合室
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/mixi_3d40.html

お知らせ

mixiの利用規約問題については、この後ミクシィ側から大幅な修正案が発表されました。詳しくは以下の記事をお読み下さい。

mixiの利用規約問題は収束へ―今後の議論の発展に期待
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/mixi_7d92.html

はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 POOKMARK Airlinesに登録 livedoorクリップへ追加 @niftyクリップへ追加 Buzzurlにブックマーク newsingにピックアップ Choixに投稿 Furlへ追加 Blinklistへ追加 Redditに投稿 twitterでReTweet

固定リンク | コメント(0件) | トラックバック(0件)

コメント

コメントを書く

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
(トラックバックは記事投稿者が公開するまで表示されません。)

ニュースな待合室をRSSで購読する

Googleで購読 はてなRSSで購読 livedoor Readerで購読 Bloglinesで購読 My Yahoo!に追加

その他のRSSリーダー

管理人のつぶやき