ニュース | 2007/11/19
政府の教育再生会議(野依良治座長)は20日の合同分科会で、大学進学希望者に「高卒学力テスト」(仮称)を実施し、合格者に大学受験の資格を与える制度の検討に着手する。
受験生の負担増につながるとして、一部委員からは慎重意見も根強く、年末の第3次報告に向けて大きな議論を呼びそうだ。
(中略)
難易度は「高等学校卒業程度認定試験」(旧・大学入学資格検定)を想定しているという。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071119it09.htm
大学進学に資格テスト、教育再生会議が検討
何かと不評の教育再生会議ですが、たまには良いことも言うようですね。
フランスのバカロレア資格を真似た制度でしょうか。「高等学校卒業程度認定試験」と同程度ということなので、フランスと比べると格段にレベルの落ちる試験だと思いますが、第一歩としては悪くない話だと思います。
前にも何度も書きましたが、まるっきり数学ができない学生が電気工学科に行ったり、δ-εも分からない学生が、東大の理系学部を出ていたり…、と、日本の教育制度は崩壊状態。国が統一した基準で学力を判定して、それに基づいて進学(進級)させる制度は必要でしょう。
受験生の負担が多くなるという意見があるようですが、バカも休み休み言えと言いたいところです。高校の基礎的な勉強すらできないような人間が、一部の科目だけ付け焼き刃的な勉強をして大学に行っている現状が問題なのです。それを「受験生の負担」と言った表面的な話で片付けようとする発想が、根本的に間違っているのだと思います。
ちなみに、自分は高認(高等学校卒業程度認定試験)の予備校で教えていた経験もあるのですが、今の日本の教育レベルを考えるとき、この試験と同程度の問題を、大学進学の資格テストに採用するのは適切だと思います。基本を押さえたかなり簡単な問題ではありますが、全科目を網羅するとなると、かなりの知識量になります。「高校でまともに勉強をしていたか」を見るためにはちょうど良いレベルでしょう。
ただ気になるのは現状の高認の合格基準はかなり低く45%程度だということ。問題そのものはかなり良問だと思うのですが、合格基準が低いために、科目によっては「適当にマークしても合格してしまう」というレベルの簡単さなのです。問題そのものもかなり簡単です。たとえば、数学の三角比であれば、sinの定義を知識として知っていれば良い…といった具合。中学レベルのものもかなり含まれています。かりにも大学に行くのであれば、最低でも60%、できれば70%を最低ラインにしてほしいところです。60%~70%というとかなり高得点のように思うかも知れませんが、すべてかなり基本的な問題であることを考えると、それほど高い水準ではありません。高校の授業を理解していれば、特別な勉強は不要でしょう。
これで大学進学率はかなり落ちると思いますが、フランスの大学入学資格試験であるバカロレア資格と比べれば、はるかにレベルが低いもの。「遊園地」と化した高校・大学の現状を改めるためには、このくらいの荒療治は必要ではないでしょうか。
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