ニュース | 2007/08/13
今春の高校卒業生の大学・短大などへの進学率が51・2%と初めて5割を超えたことが9日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かった。
また、今春にも到来するとされていた「大学全入時代」には至らなかったことも明らかになった。同省では、「全入時代がいつ始まるのかは予測出来ない」としている。
大学・短大進学率、初の5割台に…大学全入時代には至らず
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070809it15.htm?from=top
以前、予備校で数学を教えていたとき、クラスに、全く数学のできない生徒がいました。ところが、夏過ぎて推薦に受かったという報告をしてきたのでびっくり。しかも、工学部の電気関係の学科ということでさらに驚きです。何となく事情を察しながらも、立場上、「数学の試験はなっかんたでしょう」とは聞けません。「数学はどうしたの?すごいじゃない?」と聞いたら、やはり、数学の試験はなかったということでした。
すでに予備校の授業料を一年分払い込んでいる彼に、
「せっかく受かっても、今の実力では大学の授業についていけるはずがない。絶対に最後まで授業に来なさいよ。」
という趣旨のことを言ったのですが、それ以降、教室で彼の顔を見ることはありませんでした。電気関係の学科と言えば、工学部の中でも一番シビアに数学が必要になる分野。今ごろ、彼はどんな大学生になっているのでしょうか。
冒頭の記事では、「大学全入時代に至らず」なんて、のんきなことが書かれているわけですが、現場の目から見れば、すでに間違いなく「大学全入時代」なのです。
もちろん、大学全入時代というのは、それ自体、悪いことではないと思います。むしろ、教育レベルの向上として喜ぶべきことでしょう。ただ、その内実はこんな学生ばかりなのです。先ほどの彼ほどではありませんが、自分が教えている「中堅大学」の学生にも、驚かされることが多々あります。
大学は、定員割れを恐れ、明らかに学力が不十分な学生をどんどん入学させる。当然のことながら、大学の授業は崩壊状態になって高校の復習に時間をかけることになる。本来学ぶ大学レベルの内容はほとんど学ばずに4年間を終える学生が続出していると予想されます。
この国、いったい大丈夫なのでしょうか?
○追記
冒頭の記事中の「大学全入時代」という表現がおかしいことについては、以下の記事で触れています。
「大学全入に至らず」って表現、おかしくないですか?
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2007/08/post_612c.html
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