再婚禁止期間とか夫婦別姓とか
千葉景子法相は1日、閣議後の記者会見で、女性の再婚禁止期間短縮や非嫡出子の相続差別撤廃などを内容とする民法改正を目指す考えを表明した。法相は選択的夫婦別姓の導入のための同法改正案を来年の通常国会に提出する意向を表明しており、同時改正も視野に検討を進める方針だ。
結婚というのは、ある面では愛の問題かもしれませんが、同時に社会制度の問題でもあります。そして、社会制度としての結婚は複雑な問題を抱えています。
近代的な社会では、個人の自由や平等が原則となっています。ところが、結婚に関しては必ずしもそうではありません。結婚が純粋に二人の「契約」の問題であるとするとならば良いわけですが、現実の結婚制度はそうではないからです。結婚によって公的な機関から恩恵を与えられたり、こうした恩恵が結果として二人を社会的に拘束することになることは、自由や平等の原則に反しているとも言えます。また、こうした恩恵を受けるための結婚の形態があらかじめ厳しく法律によって制限されていることも、個人の自由の尊重に反するとも言えます。それにもかかわらず、結婚という制度が続いているのは、それが安定した社会を維持するための「必要悪」とみなされてきたからでしょう。
ただ、それはあくまで「必要悪」です。結婚はあくまで「自由な契約」を基礎として、そこに「社会の慣習」を踏まえた最低限の制約が設けられるべきものなのです。そして、ここで重要なのが、「社会の慣習」は時代とともに変化していくものだということでしょう。
そういう意味からすると、「再婚禁止期間が男女別に定められていること」「夫婦同姓の強制」は、さすがに時代に合わなくなっているのではないかと思います。日本の家族法を定めている民法は明治31年にできたものですが、それから大きく社会の慣習が変わっているからです。
再婚禁止期間については、DNAによる親子鑑定がなかった時代に設けられたものですが、現代においては同様の意味は失われています。もちろん、「離婚への抑止力」という意味での再婚禁止期間は論理的には正しいものであり、男女の差別をなくすために今から男性にも再婚禁止期間を設けるというのは、家族法のあり方としては十分考えられると思います。しかし、今からそういった制度を設けることに国民の合意を得られるとは考えづらく、事実上、女性の再婚禁止期間をなくすことしか選択肢がないと言えるでしょう。こういった状況で、再婚禁止期間の撤廃に反対する理由は見あたりません。
一方、夫婦別姓については、かつてであれば強い風当たりがあり、考えられなかったことだと思います。しかし、現在では多くの公的な場所で事実上の夫婦別姓が認められており、法制度がそれに付いていっていないという状況なのです。「社会の慣習」として夫婦別姓が受け入れられている中、社会の慣習に対抗するような形で法律が夫婦別姓を規制することの合理性は全くないと言えます。もちろん、自分が夫婦別姓の結婚をすることに反対する意見があるのは分かりますが、それはあくまで個人的な考え方の問題であり、他人にまで「夫婦別姓はいけない!!」と強制することが適切ではないでしょう。
つまり、結婚のあり方に関して国家が強制できるのは、あくまで「現在の社会の慣習としてそれが広く受け入れられている」という理由によるものであり、「理想の家族制度を守る」という理由によるものではありません。家族法を、社会の慣習を誘導したり、方向付けたりするために「利用しようとする」人もいますが、これは大きな間違いではないでしょうか。
ちなみに、最近の民主党政権の動きを見ていると、ちょっと議論を急ぎすぎるのではないかという気もします。非嫡出子の相続問題が、他の問題と同列に扱われていることも問題でしょう。家族法の問題は、「社会制度とは何か」「家族とは何か」ということを考える良い機会であり、それは同時に今後の日本のあり方を考える良い機会でもあります。まずは国民的議論を重ねていくことが必要ではないかと思います。
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